医療従事者向け情報

超音波水中音響温浴の用途

超音波水中音響温浴=広範囲な深達性温熱刺激

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 物理療法においては,一定の物理エネルギーを有した超音波による「深達性温熱刺激」・「非温熱作用」は既に周知のことと存じます。特に日本においては前者である超音波という高周波振動エネルギー(疎密波)が筋内や骨など深部組織内でエネルギー変換され熱に変わるいわゆる「ジュール熱」を活用した深部組織温度上昇を期待した物理療法として治療に活用されています。

 当社製品で応用する大音量の超音波域水中音響は,温浴による温水から皮膚表面への伝導熱がもたらす表在性温熱刺激と同時に浸水する部位の深部組織全体に対し深達性温熱刺激を行います。この刺激により浸水部位全体の表在及び深部組織全体の温度上昇を期待できる,普通浴・渦流浴・気泡浴・パラフィン浴・炭酸浴などとは異なる生理反応を得られることが大きな特徴となります。

 

深達性温熱刺激の検証結果 三種温浴比較

 深達性温熱刺激によって深部組織温度の上昇を立証するために,1980年「普通浴(機械的振動・超音波ともになし)」,「気泡浴(機械的振動あり・超音波小)」,「超音波浴(機械的振動あり・超音波大)」の三種温浴が比較実験されています(詳細は弊社に文献をご請求ください)。

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 この実験において最も特徴的なのは,筋温に関わる温度変化です。概略では,被験者30名の患者様にご協力いただき,下腿部から温度プローブを「ひふく筋」内まで皮下3cm挿入し筋内温度を計測し,三種温浴後の筋内温度の上昇値で比較したものとなります。右グラフは実験データを棒グラフ化したものとなります。

 温熱刺激としては皮膚表面からの温熱伝導を起因とする普通浴並びに気泡浴は機械的振動の有無に関わらず10分の実施後の温度上昇値に有意差は見受けられません。一方超音波域水中音響が大きい超音波浴では明らかに普通浴や気泡浴とは異なる深部組織温度の上昇が認められます。

 

超音波水中音響温浴の活用用途

超音波域水中音響温浴では以下の物理エネルギーによる生理反応が期待できます。

【温浴起因】

  1. 水深→水圧刺激 = 静脈環流速度の増→心拍出量の増 (水深によります)
  2. 浸水部位体積→浮力=関節部位への負担軽減 (浸水部位体積や治療姿勢によります)
  3. 浸水部位運動速度→粘性抵抗=筋への負荷向上→運動効果の向上
  4. 温熱→表在性温熱刺激=皮膚表在組織への温熱伝導→皮膚表在組織の温度上昇
  5. 密着=複雑な形状をした関節部位全体に均一な物理刺激

【噴流起因】

  1. 乱流=気液二層噴流→ランダムなマッサージ効果
  2. 流水=流水圧力に対する拮抗→筋への負荷向上→運動効果向上

【超音波起因】

  1. 深達性温熱刺激→筋全体の深部組織温度上昇=軟部組織の伸展性向上→関節可動域の向上
  2. 深達性温熱刺激→筋全体の深部組織温度上昇=温度上昇した筋への血流量増加→損傷筋の治癒促進
  3. 深達性温熱刺激→浸水部位の保温時間向上=疼痛の緩和時間をより長く

 これらの生理反応により,外傷などによる損傷筋の治癒促進や。廃用性委縮による拘縮の緩和を目的とした骨折・脱臼・捻挫等の外傷における後療法,マヒ部位に対するマニピュレーション等手技の補助,疼痛コントロールなどに活用されます。